世の中は明日がクリスマスイブだといって、なんだかふわふわと浮き足立っている。

街へ出れば赤と緑の装飾が目に痛いし、ラジオからはシャンシャンと鈴の音が鳴り止まない。そんな喧騒をよそに、私はひとり、パソコンの前で妙な熱に浮かされていた。ふと思い立って、曲を作ってみたのである。

いまどきはすごいもので、AIやら何やらを使えば、素人でもそれなりの音楽が作れてしまう。文明の利器とは恐ろしい。多少の勉強は必要だけれど、鼻歌交じりに思いついたフレーズが、あれよあれよという間に立派な楽曲に仕上がっていくのだから、まったくいい時代になったものだ。今回は時期も時期だし、あの国民的クリスマスソング、山下達郎の「クリスマス・イブ」を意識してみることにした。

ただし、歌詞は「寿司」である。

なぜ、きよしこの夜に寿司なのか。それは私のクリスマスの本番が、夜八時三十分から始まるからに他ならない。近所のマミーマートとヤオコーをハシゴし、半額シールが貼られた寿司を虎視眈々と狙う。これこそが私の聖夜のメインイベントなのだ。

我が家の同居人である夫は、筋肉を崇拝するトレーニーのため、寿司などという炭水化物の塊には見向きもしない。「俺はいいよ」と言われるのをいいことに、私は堂々と二人前の寿司(もちろん半額)を抱え込む。クリスマスなんてものは、結局のところ、大手を振って高い寿司とケーキを食べるための口実にすぎないのだ。

そんな不純かつ切実な動機で作った曲だが、これがどうして、なかなかの傑作になってしまった。夕飯の支度をしながら繰り返し聴いているのだが、九〇年代の小室サウンドとデジロックが合体したような、懐かしくも疾走感あふれる仕上がりである。もう一パターン、メタルコア風のものも作ってみたが、こちらはあまりにマニアックすぎて、世間様の聖夜には似つかわしくないだろうとお蔵入りにした。

というわけで、完成したのが以下の『Crazy Sushi Rendezvous』である。

ネタ切れ寸前の回転寿司で繰り広げられる、女の悲哀と食欲。平成のヒットチャートを彷彿とさせるメロディに乗せて、私の寿司への執着を歌い上げている。お暇な方は、ぜひ半額の寿司でもつまみながら聴いてやってほしい。

『Crazy Sushi Rendezvous』

Oh yeah!
Just like a conveyor belt, baby!
Here we go!

首都高飛ばして 滑り込んだ 回転Lane
タッチパネル 連打する指先 It’s so Danger
ネタ切れ寸前? 嘘だろ Master
わたしの胃袋 まだアイドリング状態
Give me Maguro! And Engawa!

積み上がる皿の Tower (Tower!)
冷静になれなんて No no, Nonsense!
「ご注文の品は到着しました」
あの電子音が わたしを焦らせる

寿司は夜更け過ぎに空へと変わるだろう
なんでなんだぁ!(Yeah!)
もっと食べたいんだぁ!(Whoa!)

Silent Night? Holy Night?
違うぜ わたしには Shiny Rice(シャリ)
口いっぱいに 頬張らせてくれ
Tonight!

ラストオーダー 告げる蛍の光(Light)
悲しき BGM かき消すように 頼む大トロ
お茶の粉末 こぼれて Green dust
わさびの刺激じゃ 涙は隠せない
Hey, Paypay! Or Genkin?
おあいそなんて 聞きたくないぜ

あきらめきれない このEmptyなPlate
回らなくなったレーンの向こう側で
大将が包丁を置く…
It's Over…
マジで終わりなのかい?
My Sweet Sushi…

寿司は夜更け過ぎに空へと変わるだろう
なんでなんだぁ!(Why!!)
もっと食べたいんだぁ!(I need more!!)

必ず今夜なら 言えそうな気がした
「カッパ巻きだけでもいい」
…いや、やっぱウニがいい!

Can’t stop eating…
Don’t stop feeding me…
のれんを降ろすなよ
Crazy… Crazy appetite!
閉店ガラガラ…!

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